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Photo of Harvard University building

最高峰・ハーバード大学を見る!歴史を語り、世界を変えるキャンパス

Photo of Harvard University building

ハイライト

  • ハーバード・ヤード:大学の歴史的な中心地。大きな中央図書館、ジョン・ハーバード像、そして、ハーバードを象徴する深紅色(crimson)のレンガでつくられた建物が密集している。
  • 美術館・博物館:ハーバードには美術館と4つの博物館があり、レンブラント・モネ・ゴッホなどの美術と、自然科学の成果物や、人類学者が収集した文化遺産を見られる。ここでしか見られないものが多い。
  • クープ(ブックストア):普通はコープですが、ハーバードではクープ。大学のグッズが買える大規模なブックストア。お土産を買うのに最適。また、学生専門の日用品でもあるので、学生生活も伺える。

基本情報

設立:1636年 (米国で最も古い、東大の241年前)

学部生数 (2021):7,095名 (東大の約半分)

院生数 (2021):18,415名 (東大の約1.4倍)

基金 (2021):532億ドル (およそ5.8兆円、東大のおよそ177倍)

4つの見どころ

Harvard Yardハーバード・ヤード

ハーバード大学の創設時以来の大学の敷地がハーバード・ヤードです。1637年にこの地に建立されて以来年々拡大を続け、ケンブリッジ市付近に広がるキャンパスはおよそ588エーカー(東京ドーム約50個分)の広さになっています。その広大なキャンパスの歴史的そして象徴的な中心に位置するのがハーバード・ヤードです。27個の門から入ることができ、主に学部生1年生の寮・中央図書館・チャペル・教室などの施設が集まっています。

ヤード内には主に3つの見どころがあります。まずは、ハーバードのイメージカラーである深紅色のレンガでできた建築群です。アメリカ北東部で多用されてきたレンガ建築は、イギリス植民地から独立戦争・建国に至るまでの時代を象徴する建築スタイルで、アメリカ文化の中で非常に重要な意味を持ちます。独立戦争時、兵士が駐屯していたこともある建物もハーバード・ヤードにあります。深紅のレンガは、米国の初期の歴史の象徴であるとともに、大学の伝統の長さも語っています。

2つ目はジョン・ハーバード像です。台座には「Founder(創設者)、1638年」と記してありますが、史実的には1636年設立(1638年没)、そしてジョン・ハーバード個人が創設に至ったわけではなく、早期の寄付者の一人という方が正確です。また、ジョン・ハーバード自身がどのような姿をしていたかは明らかになっておらず、1884年にこの像が作られた際はキャンパスで一番イメージに沿った学生がモデルになっています。いろいろといい加減な像ですが、左足は幸運があるという都市伝説や、それを面白がって左足に立小便する学生がいるとの話もあります。いずれにせよ、触る際は感染防止も含め、手を除菌しときましょう。

最後、3つ目はワイデナー図書館です。残念ながら一般公開はされていませんが、外からでも中央図書館の厳粛な雰囲気を感じられます。2千万もの蔵書量(とその他無数の史料)を誇る大学図書館ですが、日本を含む東アジア関連の蔵書も充実しており、質・量ともにアメリカ最高レベルの図書館です。文献を探す際、他の大学には無かったけどハーバードにはあった、ということはよくあります。

学期中に行けば、学生が多くみられるハーバード・ヤード、米国の歴史と大学の伝統を肌で感じに行って見てください。

Harvard Art Museums美術館

ハーバード大学には、名目上7つの美術館と博物館があります。ただ、3つある美術館はすべて一つの建物に集約されており、また4つある博物館のうち、2つは集約、のこる2つは比較的小規模なものです。まず、3つが集まってできている美術館(Harvard Art Museums)を紹介します。

ハーバード美術館は、正式には3つの美術館が集まってできており、それぞれ専門とする時代と地域が違います。フォッグ美術館では、中世から現在に至るまでの西洋美術を専門としており、特にイタリア・イギリス・フランス・アメリカの近世から現代の絵画・彫刻が豊富です。セザンヌ・ドガ・マネ・マティス・ピカソ・ゴッホなど有名芸術家の作品がそろっています。

ブッシュ・ライシンガー美術館は、北米で唯一ドイツ芸術に特化した美術館です。日本では取り上げられることの少ないドイツ芸術が見られます。また、バウハウス建築学校関連の作品も多く収められており、幅広くドイツの芸術が楽しめます。

サックラー美術館は3つの美術館のうち一番最近の1985年に設立されたもので、アジア芸術を専門としています。中国のヒスイの作品や、日本の浮世絵などが主な貯蔵コレクションになっています。

現在、この3つの美術館が入っている建物は、もとは1927年建設ですが、2014年にリノベーション・拡張がおこなわれています。リノベーションの際の設計は、関西国際空港を設計したことで知られるレンゾ・ピアノ氏監修で、ガラス張りのピラミッド構造など、外から見ただけではわからない工夫が中で見られます。拡張されたばかりですので、是非立ち寄ってみてください。

入館料:大人20ドル、18才以下・学生無料、日曜日は大人も無料

開館時間(2022年8月時点):火-日、10-17時、月曜定休

所在地:32 Quincy Street, Cambridge, MA 02138

その他:ギフトショップあり。

Museums of Science and Culture 博物館

ハーバードには4つの博物館がありますが、メインの2つがピーボディ―博物館と自然科学博物館です。この2つは繋がっており、一回の入館でどちらも見ることができます。ピーボディ―博物館は人類学の成果物を展示することを専門としており、19世紀以来人類学者が世界中をまわって集めてきた工芸品・文化遺産・発掘物・写真などを所蔵しています。ただ、人類学が発足して以来、当初の人種差別的な観点や搾取的な構造を改めるよう日々議論がおこなわれており、人々にとって神聖なものであったり生きた文化の遺産であったりするものをどのように展示するのか、そもそも所蔵してていいものなのか、といったことも重要な問いになっています。こうした視点を提示している展示もあり、考えさせられます。

自然科学博物館の方も充実しており、最も有名な展示物がガラス・フラワー、約4300点のガラス製の花の模型のコレクションです。1886年から1936年の50年間に作られたこれらの模型は、科学史的にも美術的にも非常に重要なコレクションです。その他にも昆虫学・地学・古生物学の展示が豊富です。一見の価値ありです。

入館料:大人15ドル、18才以下・学生10ドル

開館時間(2022年8月時点):毎日9-17時

所在地:26 Oxford Street, Cambridge, MA 02138

その他:ギフトショップあり。

The COOPクープ(ハーバード共済組合)

普通はコープですが、ここではクープと呼ばれるこの共済組合は、1882年に学生が生活費を節約する目的で設立されました。当時、2ドルの組合費を払うことで販売コスト+5%という価格で学生生活に必要なものが購入できる、というものでした。成功したことで、組合費は1ドルに下げられ、品ぞろえも立派なものになっていきます。1906年から現在の場所に位置し、1916年にはMITが現キャンパスに移転するに伴い、MITの公式組合となっています。現在でも組合費は1ドルで、一般価格の10%引きで買い物をすることができます。

ハーバードの名前が入った服や文房具、飾り、さらには家具まで買うことができ、非常に大きなお店です。在学生にとっては、教科書や授業で取り上げられる本などを買うことができ、非常に賑わいのあるところです。お土産探しと学生生活の見学、両方かねて訪れてみてください。

入店:一般の人も買い物できる。

開店時間(2022年8月時点):月-土、10-20時、日10-18時

所在地:1400 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02138

その他:上記は本店。他に経営学部・法学部・医学部にそれぞれ店舗がある。

キャンパスツアー情報

一般用ツアーと高校生用ツアーがある。

一般ツアーは、日曜日を除いてほぼ毎日催行で、大体10時-15時の間にあり、無料。現役の学生がリードしてくれる。一時間程度。雨天決行。出発地点は、ビジターセンターの1350 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02138。 事前予約必須。

高校生用ツアーは、入試・奨学金説明会とセットである。主に平日のみで、10時-14時の間にあり、無料。平日毎日あるわけではないので、早めにスケジュールを確認する。2時間程度。雨天決行。集合地点は、5 James St, Cambridge, MA 02138。事前予約必須。夏は早めに予約すべし。

大学近くの見どころ

ハーバード大学の付近は、基本的にボストンの郊外にあたり、少しキャンパスから外れるとすぐに住宅街になっています。キャンパス自体、チャールズ川の両側にキャンパスが広がっており、端から端まで歩くと結構な距離になります。ハーバード・ヤードからチャールズ川の間にハーバード・スクエアがあり、地下鉄の駅と商業施設が密集した広場になっています。

ハーバード・スクエアにあるレストランは総じてレベルが高く、外れはあまりないのですが、3つだけ参考までにご紹介します。

まず、高めの部類に入りますが、Harvestというレストランではアメリカ東部の料理が幅広く楽しめます。ある程度きちんとしたレストランをお探しの場合はおすすめです。

次に、特にアメリカ・ケンブリッジまで来て行く意味はないですが、山頭火(Santouka)があります。ハーバードでラーメンを食べるというのも、どこかしっくりくるところがあります。

最後に、インド料理店・The Maharajaでは、本格的なインド料理が楽しめます。驚くほどおいしい、というわけではないのですが、寒かったり暑かったりするボストンで、インド料理はしっかり食べられてほっとします。気取るところがないのもいいです。

ハーバードスクエア外だと、やはり地下鉄でボストンかその途中のMITまで出るのがいいです。ボストンについてはこちら、MITはこちらの記事で紹介します。

行き方

大学が位置するケンブリッジ市は、ボストンの都市圏にあり、交通は極めて便利です。大きな高速道路、地下鉄・鉄道、国際空港があり、日本・米国どこからでも行くのは比較的簡単です。日本、西海岸、ニューヨークの三つに分けて、交通手段を説明します。

まず、日本からだとボストン空港(BOS)に飛ぶことになるでしょう。ボストンへはJALが直行便を出しています。ANAだと主要都市を経由していくことになります。ボストン空港からは、バス(Silver Line)に乗りSouth Stationで地下鉄(Red Line)に乗り継ぐだけで、最短35分でHarvard駅まで行けます。荷物が多い場合は、タクシー・ウーバー(最安$30~40)でも行けます。

アメリカ西海岸から行くのも、基本的に日本から行くのと同じで、主要空港からボストンまでの直行便を利用するのが便利です。大きな空港なので、西海岸からの直行便は多いです。

次にニューヨークからですが、鉄道がおすすめです。長距離鉄道専門のAmtrakがPenn StationからボストンSouth Stationまで最速3時間45分程度でつきます(詳しくはこちら)。一時間に一本程度出ているので一番便利です。South Stationからは地下鉄で15分です。ニューヨークの全ての空港からもボストンまで頻繁に飛んでいますが、マンハッタンからだと時間的には差がなく、鉄道の方が断然楽です。

宿泊

はるばるハーバードまでやって来た時、どのホテルに泊まるかは非常に重要です。ボストンは大きな都市なので泊まれる場所は無数にありますが、貴重な時間を有効に使い、また泊まること自体もキャンパス体験の一部と考えたとき、ホテル選びで失敗はしたくありません。おすすめのホテルを3つご紹介します。

The Charles Hotel

ハーバードスクエア内に位置する数少ないホテルの一つで、かつグレードが高い。決して安くはないですが、値段に見合った立地・サービス・部屋、オールラウンドで満足のいく体験ができます。大学が学会や講演で重要なゲストを招くとき使われたりします。

Harvard Square Hotel

こちらもハーバードスクエア内にあり、しっかりしたビジネスホテルといった感じです。特に立地が良く、キャンパスビジット中に休憩したいときにもすぐに利用できたり、レストランもすぐ近くにあったりと、利便性抜群です。

Hotel Veritas

先ほどご紹介した山頭火の近くにあるホテルで、ハーバードスクエアから歩いて10分程度です。大きな通りに面しているので、治安の心配もありません。

その他の宿泊施設について

ハーバード近辺には意外とホテルが少ないです。そのため、自然と少し離れた場所のホテルかAirbnbを利用することを考えることになりますが、両方ともあまりおすすめできません。郊外のホテルは車かタクシーを利用することが前提になりますし、Airbnbはホスト次第でちょっとした賭けになります。アメリカ在住で経験豊富な方なら何とかなるのですが、そうでない方は大学から歩ける距離にある大きなホテルにしておきましょう。

もう一つの選択肢として、ボストンまたはMITに泊ることも可能です。地下鉄Red Lineの駅の一つの近くに泊れば、キャンパスビジットには便利です。ただ、Harvard駅から15分以内の駅の徒歩5分圏内にしておきましょう。

最後に一言

世界最高峰のハーバード大学、グローバル化が進み地球規模の問題が多発する今、世界を良い方向に導いてくれるリーダーを輩出するであろう場所と言えます。世界の中心に位置するという自負・使命感、豊富なリソース、多様な人材、そこで起きるケミストリー、その全てをキャンパスでは肌で感じられます。インスピレーションを受けに是非訪れてみてください。

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