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Aerial view of Yale University campus

名門・イェール大学を見る!世界屈指の美術館とユニークな寮システム

Aerial view of Yale University campus

ハイライト

美術館(2館)

ゴッホ・モネ・ピカソ・ターナーなどの名画や、古代ギリシャ・ローマのコイン・彫刻など、世界屈指の美術品が無料で見られる。

図書館

大学の中心にある図書館は建物自体が圧倒的にきれい。貴重書図書館では、世界中で21冊しか現存しない、西洋初の活版印刷書であるグーテンベルク聖書(1455年)が見られる。

14の寮

学部生は入学時に全員14の寮のうちの一つにランダムで振り分けられる。ハリポタのようなシステムで、ゴシック様式の寮建築は一見の価値あり。

基本情報

  • 設立;1701年 (米国で3番目、東大の176年前)
  • 学部生数 (2021):6,494名 (東大の約半分)
  • 院生数 (2021):8,031名 (東大の約半分)
  • 基金 (2021):423億ドル (およそ5.7兆円、東大のおよそ141倍)

5つの見どころ

Yale University Art Gallery イェール大学美術館

イェール大学美術館(略してYUAGと呼ばれます)は、全米最古の大学美術館で、北米でトップと言ってもいいほど充実している美術館です。一般展示では、全世界・全時代のものが見られますが、画家で言えばゴッホ・モネ・ピカソ・ドガあたりが有名です。古代彫刻も充実しており、古代ギリシャ、新バビロニア時代(紀元前6世紀)、ローマ帝国のものや、インカ帝国、マヤ帝国などアメリカ大陸のコレクションも充実しています。近代アメリカの芸術も多く、エドワード・ホッパーの作品などは見応えがあります。

また、今使われている建物と次に紹介するイギリス芸術センターは、建築家ルイス・カーンの設計です。カーンは、ブルータリズムという建築スタイルの代表者です。コンクリートむき出しの建築が多く、「荘厳にして冷ややかな、神亡き機械時代の神殿を築いたかのようでもある」と評されています[1]。作品を見ながらも、その空間を味わってみてください。

  • 入館料:無料
  • 開館時間(2022年8月時点):火-金、10-17時、土日11-17時、月曜定休
  • 所在地:1111 Chapel St, New Haven, CT 06510
  • その他:中に小型ロッカーあり。小さなギフトショップあり。

Yale Center for British Art イギリス芸術センター

YUAGの向かい側にあるイギリス芸術センターは、英国外では質・量ともに世界一のコレクションを誇ります。所蔵約2千点の絵画、250の彫刻、約3万5千点の版画、約2万点のデッサンを通じて、15世紀から現在に至るまでのイギリス文化の発展をたどることができます。

特に見応えがあるのが、4階奥に位置するロング・ギャラリーと呼ばれる部屋で、絵画が所狭しと並べられています。個人コレクションを彷彿させるこの部屋は、長くいても常に新しい発見のある空間になっています。

現在のYUAGの建物が完成してから約20年後に設計・建設された当センターでは、建築家ルイス・カーンの成熟も見ることができます。木材とコンクリートを自在に操り作り出された空間は、居心地の良さと荘厳さの両方を備えています。最上階の天井からは、日光を反射しつつ取り入れることで、人工では作れない明かりが見られます。

当センターの1階には、ミュージアムショップがあります。YUAGと違い、こちらのショップはかなり力が入っています。面白くてかわいいイギリス由来のグッズが沢山ありますので、必ず行ってみてください。

YUAGとイギリス芸術センター、行ってみるとわかるのですが、あわせて全部見て回るのは、かなり大変です。2-3日は十分楽しめるような質と量です。イェール大学の芸術活動の核をなす2館ですが、2012年と2015年にリノベーションされたばかりですので、立ち寄ってみてください。

  • 入館料:無料
  • 開館時間(2022年8月時点):火-土、10-17時、日12-17時、月曜定休
  • 所在地:1080 Chapel St, New Haven, CT 06510
  • その他:木・土・日曜日はツアーあり。

Sterling Library スターリング図書館(中央図書館)

大学の学術活動の中核をなす図書館の中心となる建物がスターリング図書館です。大学の中心に位置するこの図書館は、大学の建築様式であるゴシック様式の最たる例です。建築史的には、実はかなり多くの様式が混ざっているのですが、そんなの関係なしに壮麗な美しさの建物です。中央の棟は15階建てで、すべて書庫です。書庫自体には入れませんが、コロナ禍以前は玄関ホールとメインの読書室は一般人でも入れました。建物の細部まで見ていて飽きないものになっています。言うまでもなく、インスタ映えします。

また、図書館正面の広場は、クロスキャンパスと呼ばれ、2つの寮と旧音楽学部に囲まれています。学期中に行くと、休み時間、学生が忙しく行き来する風景や、暖かければ芝生で寝転がる学生が見られます。実はこの芝生の下にも地下二階建ての図書館があり、勉学の中心となっています。ぜひ、ゴシック様式建築が楽しむと同時に、名門大学における学生生活を肌で感じとってください。

  • 入館料:無料 (コロナ禍で一般入館は中止中)
  • 開館時間(2022年8月時点):学期中か休暇中かで変わる。基本、毎日10時-17時は開いている。
  • 所在地:1080 Chapel St, New Haven, CT 06510
  • その他:キャンパスツアーでまわれる時がある。

Beinecke Rare Books and Manuscripts Library バイニキ貴重書・史料図書館

世界有数の貴重書図書館で、3つの見どころがあります。まず、数ある所蔵史料の中でも、二点が常時展示されていて、1つめが『グーテンベルク聖書』です。西洋初の活版印刷物で、1454年成立と言われています。完全な状態では世界に21点しか現存しません。2つ目は、『アメリカの鳥類』で、430以上の鳥類を類まれなる精度で描写した、19世紀成立の鳥類博物辞典です。色彩はすべて手製で、制作に13年かかったといわれ、歴史上最も大掛かりな印刷物ではないかと言われています。

また、建築物自体も特別で、外壁に日が当たると特別に薄めに切られた大理石が日光を透過することで壁自体が光って見えるよう設計されています。また、建物の正面に窪むようにある空間には、日本にも多くの作品を残したイサム・ノグチ制作の彫刻作品があります。見て回るのにそれほど時間はかかりません。一見の価値ありです。

  • 入館料:無料 (一般開放中)
  • 開館時間(2022年8月時点):平日は10時-16:30、休日は12時-16時
  • 所在地:121 Wall St, New Haven, CT 06511
  • その他:法学部、コモンズ食堂、学長室に囲まれている。

Residential Colleges 14の大学寮

学部生は、入学時に14の大学寮のうちどれか一つにランダムに振り分けられます。特に優劣があるわけではないのですが、基本的に4年間ずっとその寮に所属することとされています。それぞれの寮には、食堂・ジム・図書館・ゲームルームが整備されており、さらに小さなコンサートホールや音楽室があるところもあります。最初は4つの寮で始まりましたが、最近では2017年に2つ足されて今では14の寮となっています。寮によって建築スタイルが異なっており、中心部のゴシック様式の他に、アメリカ植民地時代のスタイルや、ブルータリズムのものもあります。

基本的になかに入ることはできませんが、外から見て回るだけでも十分楽しめます。インスタ映えするところも多いので、いろんなスポットを見つけてみてください。

  • 入館:できない。
  • 所在地:スターリング中央図書館から、半径800メートルの中に密集している。
  • その他:キャンパスツアーで中庭を見れる。

キャンパスツアー情報

一般用ツアーと高校生用ツアーがある。

一般ツアーは、ほぼ日曜日を除いて毎日催行で、大体10時-14時の間にあり、無料。一時間程度。雨天決行。出発地点は、149 Elm Street, New Haven, CT 06511。 事前予約必須。

高校生用ツアーは、平日のみで、9時-14時の間にあり、無料。1時間程度。雨天決行。30分の入試・奨学金説明会が前後にあり、参加可能。出発地点は、SSS Hall, 1 Prospect St, New Haven, CT 06511。事前予約必須。夏は早めに予約すべし。

大学近くの見どころ

イェール大学には、大きなブックストアがありグッズは充実しています。文房具や衣服など、いろいろな大学名入りグッズを売っていてお土産に最適です。

また、イギリス芸術センターの一階にある、Atticusという店には、かわいい本や文房具などがそろっており、必ず立ち寄ってほしい場所です。カフェも併設しており、朝食・ランチにおすすめです。

ちょっとおやつが欲しい、なんて時には、Arethusaというアイスクリーム店がおすすめです。本格的なアイスクリームが食べられます。注文時は、ワッフルコーンを頼みましょう。

イタリアからの移民が多いニューヘイブンは、ピザが有名です。夕食には、BAR Pizzaというお店のピザとビールがおすすめです(ただ、未成年の入場規制があるときがある)。

比較的落ち着いたところだと、ZINC New Havenというアメリカン料理レストランもおすすめです。

最後に、アメリカまで来て、と思うかもしれませんが、Otaru Sushi Barという寿司屋には、ぜひ立ち寄ってみてください。安くはないですが、異次元においしいお寿司が食べられます。

行き方

大学が位置するニューヘイブン市は、東海岸コネチカット州にあります。大きな高速道路、鉄道、さらに小さな地方空港の三つが主要な交通手段です。日本、ニューヨーク、ボストンの三つに分けて、交通手段を説明します。

まず、日本からだと、ニューヨーク、JFK空港、またはEWR空港が最寄りです。JFK空港からは、イェール大学まで直通のシャトル(2時間半程度)かレンタカーの乗り捨てが便利です。地下鉄と鉄道を3回乗り換えていくことも可能ですが、荷物の問題や治安の問題もあり、お勧めできません。

次にニューヨーク市内からですが、二つの会社が鉄道を出しています。一つは長距離鉄道専門のAmtrakで、Penn Stationから最速1時間40分程度でつきますが、少し高めです(詳しくはこちら)。もう一つがGrand Central Stationから出ているMetro Northで、こちらも最速1時間40分程度で行けます。Metro Northは通勤列車仕様で少し疲れますが、断然安いです(詳しくはこちら)。マンハッタンのどちらかの駅近くに泊っているのであれば、よく計画すれば日帰りでの訪問は可能です。

最後にボストンからですが、Amtrakのみと考えていいでしょう。最速の列車で2時間、遅めの列車で2時間半ぐらいです。Amtrakについては、こちらを参照ください。

おまけになりますが、ニューヘイブン市内から車で15分の位置にはニューヘイブン空港があります。Avelo Airという新しいLCCがハブ空港としていて、ワシントンDCやシカゴなど14都市(2022年現在)に就航しています。キャンパスツアーではほぼ出番はないかと思いますが、参考までに。

宿泊

はるばるニューヘイブンまでやって来た時、どのホテルに泊まるかは非常に重要です。ニューヘイブンの全体的な治安は良いとは言えませんが、同時にどこにいれば安全か知っていれば、それほど心配する必要もありません。おすすめのホテルを3つご紹介します。

The Study at Yale

大学美術館とイギリス芸術センターから徒歩一分の場所に位置するホテルで、サービスレベルやきれいな部屋など、総合的に一押しです。高めの価格帯ですが、その価値は十分あると言えます。

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Omni New Haven

ニューヘイブンの中心地を一望できるホテルで、大学全体も大体徒歩十分圏内に入ります。レストランが周りに多く、にぎやかな場所にありますが、セキュリティーなどは大変しっかりしており、安心して泊まれます。

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New Haven Hotel

先ほどご紹介した寿司屋、Otaruのすぐ近くにあるビジネスホテルで、少し外れにありますが、夜遅く(10時以降)でなければ、治安の心配もありません。サービス・部屋ともにしっかりしていますし、大学も徒歩圏内です。

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最後に一言

都市が小さく他の観光名所もないため、よく目的地から外れてしまうニューヘイブン市・イェール大学ですが、実は見どころ満載です。無料の美術館としては、世界一の所蔵を誇る美術館や、ここでしか見られない建築、そしてニューヨークにも引けをとらないレストラン文化など、2-3日はいても退屈しません。名門大学の空気・空間・文化、ぜひ堪能してみてください。


[1]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BBI%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3

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